脳 不安障害(その17)
「ある日、突然、息が苦しくなって、胸がドキドキ、冷や汗が止まらない……、理由の分からない発作におそわれ、そして、また、あの恐い発作がいつ起きるか分からずに今も、ずっと不安な状態が続いている」こんな状態はありませんか?
パニック障害は、特別な理由もないのに襲ってくるパニック発作で発症する病気です。この発作は1回で終わることはなく、何度も繰り返されます。そして、そのうち「また、あのパニック発作が襲ってくるのではないか……」という強い不安が患者さんを苦しめるようになります。このパニック発作が起こることを強く不安に思う症状を予期不安と言い、パニック発作と並んでパニック障害の特徴的な症状です。
パニック発作では様々な症状がみられます。「胸がドキドキする」といったあるひとつの症状が出るというよりは、同時にいくつもの症状があらわれます。
パニック発作ではこれらの症状が何の前ぶれもなく突然起こり、多くの場合10分以内でピークに達し、通常30分以内でおさまります。
なぜ、強い恐怖を感じる出来事の後に、フラッシュバックや、感情の麻痺、過敏反応などが起きるのでしょうか?
フラッシュバック:強い恐怖体験をしたときに、脳の一部から交感神経を緊張させるような物質が多量に分泌され、記憶作用が高められるために起こるのではないかと仮説されています。失恋や、仕事の失敗などではこのような神経の高ぶりは認められないので、外傷後ストレス障害は、強い恐怖体験によって、脳(こころ)に刻みこまれた傷であると言えます。
麻痺:本人にとって、苦痛な出来事の記憶を意識の奥深くに閉じ込めてしまおうとするために生じる症状です。記憶を閉じ込めてしまうことで、一時的には楽になれますが、そうすることで体験の記憶やそれまで持っていた感情も一緒に閉じ込められ、無感情になってしまいます。
過敏反応:体験のときに生じた強い興奮による交感神経の緊張が、その後もずっと続いているために生じる症状です。興奮状態が事件後も長く続くことによって、いつも気持ちが張り詰めて、些細なことに反応したり、イライラしたり、夜も安心して眠れなくなるという問題をもたらすようになります。
精神療法には、「認知療法」と「行動療法」を組み合わせた治療法や、日本で生まれた「森田療法」などがあります。
不安な気持ちが起こるメカニズムを勉強し、自らに不安感を引き起こしてしまう誤った認知パターンを修正できるようにするのが「認知療法」です。
「なぜ、人前に出ると恥ずかしく不安になるのか」というメカニズムを勉強しながら、周囲の人の目や自分の能力を再認識し、不安が発生していた状況の認知を改めます。と、同時に呼吸法やリラックス法、上手な話し方等、不安状況への対処法も合わせて学習していくのが認知療法です。
SAD が原因で失敗をした、恥をかいた。そんな人に対し「気分転換に××へ行こうよ」と、何かの行動に誘うことはできる限り避けましょう。落ち込んでいる患者さんは、今は悔しさや恥ずかしさに満ちています。そんな状態で、お酒の席や旅行、買い物等、人前に出る行為はさらなる恐怖を呼び、回復の余地を奪ってしまいかねません。落ち込んでいる患者さんには、自分の時間を存分に与えてあげるとともに、悩みを聞いてあげたり、共感することを考えましょう。
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