抑うつ(その18)
大切なことはからだの不調にもうつ病の可能性があることを知っておくことです。これまで、原因が分からずに「眠れない・・」、「頭痛が続く」とからだの変調に悩まされていた人は、うつ病の症状や生活環境に当てはまるところがいくつかあるのではないでしょうか?アメリカでは、男性の10人に1人、女性の5人に1人が、一生に一度はうつ病にかかったことがあるというデータがあり、日本でも人口の約5%はうつ病の患者さんであるといわれています。この数年間で確実に患者数は増えており、「仮面うつ病」でからだの不調の理由をみつけ出せずにいる人も含めれば、さらに増加していると予想されます。仮面うつ病は、からだの症状が前面に出ているうつ病です。そのため、うつ病のこころの症状の特徴である悲しい気分や、憂うつ感が目立たないため、うつ病と診断することが難しい場合があります。こうしたからだの症状は、抗うつ薬の治療により比較的治りやすいといわれています。
抗うつ薬の副作用は、くすりの種類によって違いがあります。
服用している抗うつ薬による副作用の特徴を知っておくことが大切です。
三環系抗うつ薬:クロミプラミン(アナフラニールR)、イミプラミン(トフラニールR)、アミトリプチリン(トリプタノールR)、アモキサピン(アモキサンR)など。
四環系抗うつ薬:マプロチリン(ルジオミールR)、ミアンセリン(テトラミドR)など。
これらの副作用としては以下のようなものがあります。
吐き気、嘔吐などの消化器系症状は、脳にある「吐き気の中枢」を刺激して起こります。
便秘は、腸の動きが抑えられて起こる副作用です。
口のかわきは、唾液の出が悪くなって口の中が粘った感じがしますが、水分が足りなくなっているわけではありません。
めまい、立ちくらみは、急に起き上がったときなどに、血圧が下がりすぎ、めまいや立ちくらみが起きることがあります。
かすみ目で焦点が合わないと感じられることもあります。
うつ病の再発を予防するための「維持療法」とは、もとの生活や職場に復帰できた後も、くすりによる治療を継続することです。
ある研究では、抗うつ薬による維持療法を行った場合は、維持療法を行わない場合に比べて再発する患者さんの頻度が低くなることが報告されており、うつ病の再発予防のために維持療法の効果が認められています。初めてうつ病になった患者さんでは、およそ半年間はくすりの服用を続ける必要があります。特に、うつ病の再発を何回か繰り返した患者さんや、まだ症状が残っている患者さん、重症のうつ病と診断された患者さんでは、1〜3年程度の長期にわたり治療を継続する必要がある場合があります。
抗うつ薬の維持療法をどのくらい続けるかは、担当の医師と十分に相談していただくことが重要です。また、抗うつ薬の維持療法による再発予防以外には、「物事の“とらえ方”」を調整する認知行動療法を行うと、再発する頻度が低くなるという報告があります。
“うつ病”の治療は「十分な休養」と「くすりによる治療」という2つの柱で進められます。また、考え方などを見直す「精神療法」を組み合わせた治療が行われることもあります。
十分な休養は、“うつ病”の治療で最も大切なものです。まずはゆっくりと休むことで、疲れきっているこころとからだをリフレッシュさせます。この期間は、家で何もしないでゆったりとして過ごすことが大切です。
“うつ病”の患者さんは、「常に何かをしていなければいけない」、「休むことは罪だ」と考えるタイプの人が多いため、なかなか休みをとろうとしません。休養によってこころのガソリンを十分に補給することで治療効果も上がります。十分な休養をとる場所がない場合は、軽症であっても入院した方がよいという場合もあります。
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