仮面うつ(その18)
周囲の人の対応の具体的なポイントには次のようなものがあります。
・“頑張りたくても頑張れない”うつ病患者さんにとって、「頑張って」などという励ましの言葉は逆効果です
・夕食のメニューなどの生活の小さなことでも、考えや決断を求めることはなるべく避けましょう
・外出や運動を無理にすすめず、とにかくゆっくり休ませましょう
・「仕事を辞めるかどうか」というような、重要な決定は先のばしにさせましょう家事などの日常生活上の負担を減らしてあげましょう
・医師により多くの情報を正確に伝えるために、できるだけ病医院に付き添い、受診に同席しましょう
・自己判断でくすりの服用をやめると回復を遅らせてしまうため、きちんとくすりをのむように気をつけてあげましょう
うつ病は、治療を受ければ必ず治る病気で、適切な治療を早期に行えば、一般的に、6カ月から1年ほどで回復してきます。治療の基本は、薬物療法と十分な休息をとることです。
うつ病の治療には抗うつ薬が中心に使われます。抗うつ薬は、治療に使い始められてからこの40年間で目覚しく進歩しています。最初に開発された三環系・四環系と呼ばれる抗うつ薬から、研究開発が重ねられ、現在では副作用が少ないSSRI・SNRIというタイプの抗うつ薬が登場しています。
うつ病の治療が回復期まで進み、もとの生活とほぼ同じように生活を送れるようになれば、次にうつ病の再発予防を考えます。うつ病はきちんと治療を受ければ回復する病気ですが、一方でぶり返しやすい病気であるといわれています。
この時期は、症状が軽くなってきたと感じるため、患者さんの中には治療をやめたいと思う方もいます。しかし、くすりには、「状態をよくする」という働きに加えて、「よい状態を維持する」という働きもあります。個人差はありますが、症状がよくなっても、初めてうつ病になった患者さんではおよそ半年間はくすりの服用を続ける必要があります。
また、うつ病になったときのものの見方を知ることで、自分なりにものの見方を調整して、再発を予防することも大切です。
うつ病患者さんは「100点でなければ0点だ」とか「〜でなくてはならない」というように、ものの見方が極端になり、いくら「こころの休息が大切です」と担当の医師に言われても、「休むことは悪いことだ」、「休んでいる自分はダメな人間だ」と考えてしまいがちです。
しかし、例えば糖尿病の患者さんが、甘いものが好きだからと言って、甘いものを食べながら糖尿病のくすりを服用しても効果は期待できません。同じように、うつ病も過度のストレスがかかった状態のままでは、せっかく治療を始めても十分な効果は期待できません。
治療の効果がしっかりあらわれるようにするためにも、これまで1人で抱えてきた負担をいったんおろして十分なこころの休息をとることが大切なのです。
うつ病はこころとからだを活性化するセロトニンやノルアドレナリンといった脳内神経伝達物質の減少によって引き起こされると考えられています。
うつ病患者さんの場合は普通の人に比較して、神経伝達物質の量が少なくなっています。そのため、うつ病の治療ではくすりによって、神経伝達物質がもとの神経細胞に再び取り込まれるのを阻害して、神経伝達物質の量を正常に近い状態に戻します。
従来の抗うつ薬神経終末のセロトニンやノルアドレナリンを増やすことを目的として開発されたくすりですが、セロトニンやノルアドレナリン以外にも作用するため、くすりの副作用が比較的現れやすいといわれています。主な副作用は、口渇、便秘、排尿困難、眠気などです。
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