デパス 不安障害(その18)
「人前で何かをすることによって、悪い評価をされるのではないか・・・」
「周囲から注目を浴びるようなことをして、恥ずかしい思いをしてしまうのではないか・・・」
例えば結婚式のスピーチを頼まれて、「ちょっと恥ずかしいな」と思うのは誰にでもあることですが、スピーチを頼まれた時から失敗して他人から馬鹿にされはしないかと考えプレッシャーを感じて苦しい日々を過ごしたり、マイクの前に立ったもののふるえが止まらず、声もうわずり、スピーチを続けられなくなってしまう。あるいは、友達の家に食事に招待されたものの、不適切な食事のマナーを指摘されるのではなどと気になって、顔が真っ赤にほてり、おいしい料理ものどを通らなくなってしまう。
なぜ、強い恐怖を感じる出来事の後に、フラッシュバックや、感情の麻痺、過敏反応などが起きるのでしょうか?
フラッシュバック:強い恐怖体験をしたときに、脳の一部から交感神経を緊張させるような物質が多量に分泌され、記憶作用が高められるために起こるのではないかと仮説されています。失恋や、仕事の失敗などではこのような神経の高ぶりは認められないので、外傷後ストレス障害は、強い恐怖体験によって、脳(こころ)に刻みこまれた傷であると言えます。
麻痺:本人にとって、苦痛な出来事の記憶を意識の奥深くに閉じ込めてしまおうとするために生じる症状です。記憶を閉じ込めてしまうことで、一時的には楽になれますが、そうすることで体験の記憶やそれまで持っていた感情も一緒に閉じ込められ、無感情になってしまいます。
過敏反応:体験のときに生じた強い興奮による交感神経の緊張が、その後もずっと続いているために生じる症状です。興奮状態が事件後も長く続くことによって、いつも気持ちが張り詰めて、些細なことに反応したり、イライラしたり、夜も安心して眠れなくなるという問題をもたらすようになります。
またSADの患者さんにおいては、刺激に反応して体全体に恐怖信号を発信する扁桃体という脳内の部位が、過剰に反応して強い恐怖感を生みだしているのではないかという報告もあります。
単なる内気で人見知りな性格なのか、それとも社会不安障害(SAD)を発症しているのか、または別の精神疾患にかかっているのかどうか。医療機関での診断は、自分自身の話を専門医に相談することから始まります。
SAD が原因で失敗をした、恥をかいた。そんな人に対し「気分転換に××へ行こうよ」と、何かの行動に誘うことはできる限り避けましょう。落ち込んでいる患者さんは、今は悔しさや恥ずかしさに満ちています。そんな状態で、お酒の席や旅行、買い物等、人前に出る行為はさらなる恐怖を呼び、回復の余地を奪ってしまいかねません。落ち込んでいる患者さんには、自分の時間を存分に与えてあげるとともに、悩みを聞いてあげたり、共感することを考えましょう。
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